日本学術会議 公開シンポジウム
「フロンティアを目指す、サイエンスとアート」
日時:平成28年6月27日(月)10:15 ~ 11:00
場所:日本学術会議講堂 (東京都港区六本木 7-22-34)
(無料、事前登録は終了。但し、当日受付もします。)
主催:日本学術会議、後援:読売新聞東京本社
美は、人類が求める精神的フロンティアの道標である。
アートは、美と訳されるが、人為的な手段、技巧でもある。美を希求することがアートを進化させ、アートの進化はまた、美を新たな高みへと押し上げる。
このメカニズムは、科学においても顕著だ。物理学というアートは万物の理を簡奥なる方程式に帰結させ、時空を超えた思索をも促している。化学や生物学においても然り。化学反応する物質の量が整数比であることが原子論をひらき、やや強引なメンデルの実験は遺伝の法則からゲノム解明への道を築いた。
人文系でも、カントは理性の整然たる様から「永遠平和のために」を著し、社会学たる経済学においては、近年、ピケティが膨大な統計から「r>g」の法則を導出した。
美は学問即ち人類思索の崇高なる果実、フロンティアであり、同時にアートを培う必須の養分でもある。美と思索の不可分なる共振は、情報技術の進歩によって新たなモードを表出しつつある。その一断面を美のフロンティア探求者とともに覗いてみたい。
アートたるカオスが生み出す空間芸術とデザインは、感性による美を超えて、それを拡張させる。美を増幅するシンデレラ・テクノロジーは女性のアイデンティティとコミュニケーションを補強する。コミュニケーション能力を高めた現代のシンデレラは、技術の充実とは裏腹にコミュニケーションが分断され、時に対立の惨劇を展開する、今日社会の未来を考察する主役となるだろう。
新たな視点を持つアート、奇跡を時に表象するアートこそが、思いもかけない展開を生む。美で夢、ないしはオポチュニティーを実現させたシンデレラの物語は、知の探求に於いても改めて参照されるべき寓話なのである。
広島出身、東京在住。多摩美術大学卒業。1980年代後半から独学で数理的手法による造形を始める。 2000年前後より、さらに動的表現を探る研究および制作を開始する。2003年以降、精緻な平面作品への展開も進めている。
また合原複雑数理モデルプロジェクト,ERATO,JST(2005-2008)、合原最先端数理モデルプロジェクト,FIRST,JST(2010-2013) などの学術プロジェクトにも参加。 作品集『イマジナリー・ナンバーズ』(工作舎、2003)を発表。平成18年度(第10回)文化庁メディア芸術祭アート部門大賞受賞。 東京都現代美術館、ミラノサローネ・レクサス館をはじめ、国内外で作品発表を行っている。
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2000年、慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科卒業。
2006年、東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程修了。博士(環境学)。
東京大学先端科学技術研究センター特任助教、東京工科大学メディア学部講師などを経て、2014年より東京大学大学院情報理工学系研究科特任研究員。専門はメディア環境学。
愛知県立旭丘高校美術科卒業。武蔵野美術短期大学・工芸デザイン科卒業。
ファッションに出会った1986年ごろから女性の身体と布が織りなす彫刻としての服創りを始める。ウエディングドレスのデザイナーとしてのブランド名は「エマリーエ」。1998年ごろサイエンスと数学に出会い、自然と人間、服と人間の関係性に注目し、内外の科学・数学の研究者とのコラボレーションによって服や造形をコレクションとして発表し、思考と感覚について模索を続ける。
2005年〜2007年 宇宙ウェア開発ユニット(JAXA宇宙航空研究開発機構 宇宙オープンラボ 宇宙ビジネス提案選定ユニット)ユニットリーダー
2008年〜2010年 東京造形大学 非常勤講師/特任教授
主なコラボレーション(コレクションショーとして発表)
1999 ■位相幾何学 トポロジー的造形──トポロジスト 圓山憲子博士とのコラボレーション
2000 ■MATHEMATICA──数学のコンピュータソフトとのコラボレーション、■脳・心・コンピュータ&ファッション──松本元博士(理化学研究所脳科学総合研究センター、ブレインウェイ・グループ・ディレクター)とのコラボレーション
2010 ■数理、アート&ファッション──合原一幸博士(東京大学生産技術研究所教授)、木本圭子氏(ビジュアル・アーティスト)とのコラボレーション
企画展・グループ展・インスタレーション
2002 ■感覚する服:「メタファーとしての医学 芸術と医学」展(コラボレーション) 於 NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)
2005 ■「世界の呼吸法 アートの呼吸 呼吸のアート」展 於 川村記念美術館